「義経」を擁護する

このブログを見た妻が「『義経』の悪口ばかり書いている」といっていたのでこのへんで賛美の文章を。
基本的に、ドラマとしてはかなり面白いと思う。やはり俳優陣がいい。滝沢秀明もこれまで見せ場があまりなかったが、一の谷の殺陣シーンの動きはさすがだった。伊達に少林寺で修行してないな。
それよりもいま気に入っているのが中井貴一演じるところの源頼朝鶴見辰吾演じるところの平宗盛、源平の両大将だ。どっちも最初はぼーっとした頼りない役どころとして登場したんだが、ここのところの頼朝の冷徹なまでの策略家としての顔は見事。どちらの顔も演じわける中井貴一はさすが。
いっぽうの宗盛は徹頭徹尾頼りない。清盛の遺した屏風に八つ当たりし、維盛から取り上げた鎧を清宗に着せてはしゃぐ姿は馬鹿以外の何者でもない。しかし今週の放送ではついに後白河に謀られたことに気づき歯噛みする。そしてその姿もやはり頼りない。
もともと鶴見辰吾といえば「スクールウォーズ」の名村家のドラ息子とか、「ピーターパン」のフック船長&ダーリング氏のように、どことなく笑いが漏れるような役がよく似合っていたが、今回の宗盛役はまさにはまり役といっていいだろう。
その宗盛との対比が際立つのが阿部寛演じるところの新中納言平知盛だ。阿部寛も「トリック」の上田二郎とかビザのCMとかで見られるようにちょっとコミカルな役が最近はまっているが、このようなかっこいい役も見事にはまるのが鶴見辰吾と違うところか。彼の「見るべきほどのものは見つ」の場面は何が何でも見たい。
そういえば今週の放送は知盛と細川茂樹演じるところの弟の平重衡が戦場で別れ、そのまま重衡は乱軍の中で捕らわれに。これが兄弟最期の別れとなるわけだ。源氏方の兄弟愛(愛だけにとどまらずいろいろな感情があるけれど)についてはあれほど描いているのだから、平家方ももっと描いてやればいいのになぁ。と、やはり最後には苦言を呈してみる。