五月人形

プーが生まれたのは去年の4月なので、厳密には去年が初節句なんだが、「生まれたばかりのときは初節句は1年遅らせてもいい」というしきたりがあるようで、今年の5月に初節句を祝うことになった。
節句といえば欠かせないのが五月人形。3月頃からぼちぼちと五月人形屋からダイレクトメールが届きはじめたもののなかなか買いに行く時間がなく、そのうちに私の両親から「初節句五月人形は贈らせてもらう」という申し出があったので、お言葉に甘えることにした。
で、先日プーをつれて出かけた(前述)際に届いたカタログを持って行ったところ「そっちで気に入ったのを買ってこっちに請求書を回せ」とのこと。何という太っ腹! 孫って本当にすげーなー....。とはいえ私の実家も決して裕福ではないので、さすがに予算の上限をこちらで決めてその範囲内で選ぶことにした。
とはいえこの時点で端午の節句まで1ヶ月を切っていたので急いで決めないといけない。ということでカタログを見たりインターネットでいろいろ調べたりしてみたんだが、何せ安くない買い物だし、実用品を買うのと違ってスペックが数字で示せるわけでもないのでなかなか決まらない。
とりあえず私も妻も人形よりは鎧兜という感覚があり、家の広さと予算を考えると鎧も難しかろう、ということで兜を本線として探すことに。やっぱり実物を見て選びたいという気持ちもあったので、週末に近所の人形屋に出かけることにした。
そこはダイレクトメールも届いていて「豊富な品揃え! 遠方から来てもお得です」などと書いてあったので期待していったんだが、もう節句まで3週間しかないせいか、広い展示場の半分くらいは使われておらず、意外と品揃えが少ない。いろいろ説明を聞いていたが「お安くしておきます」「お買い得です」ととにかく値段のことを強調している。普通の買い物をするんだったら安いに越したことはないが、子供の縁起物を買うんだから「そこにあるものの中から在庫処分のような形で安いものを買う」よりも「もっと本当に気に入ったものを買いたい」という気持ちがあったので、とりあえずこの店の中での第一候補だけ当たりをつけて駅前のそごうまで足を伸ばすことにした。
その途中で「たしかこのへんに人形屋があったよな〜」というところを通ってみると、思ったとおり道の反対側に人形屋があった。道を渡るために大回りして信号のところまで行ってみると信号の向こうに別の人形屋を発見。せっかくなので入ってみたところけっこう品揃えが豊富で、値段もまぁ手の出る範囲だ。しかし奥に行くにつれて値段も上がっていくな....と思っていたところ、ここで妻の御めがねにかなう兜を発見。加藤鞆美の手による源頼朝公の兜だ。
私は大学で日本史学科に籍を置いていたんだが、思えば私が日本史好きになったきっかけは小学校2年生のときに学校の図書室で源頼朝の伝記を読んだことだった。妻もそれを知っているので「せっかくだから頼朝公の兜にしようよ」と強く勧めてくれた*1
ものの良し悪しは素人であるわれわれにはわかりかねるが、少なくとも見た感じは品もよく気に入った。しかしいかんせん予算が我々の設定したラインをだいぶオーバーしている。逡巡していると店員さんが「屏風を取り替えれば若干値段が下がります」とのこと。ためしに比較的リーズナブルな屏風と並べてみたが、前の屏風よりもむしろこっちのほうがいい感じに思える。この時点でもまだ予算を若干オーバーしていたが、正直に予算を伝えると「じゃあその金額で」とのことだったので、めでたく購入と相成った。
ということで、結局そごうはおろか、道の向こうの人形屋にも行かずじまい。こんな衝動買いでいいのか? という気もしたが、プーのご機嫌もそろそろ限界に近かったし、こういうものは第一印象が大事だということで....。もっと頑張って価格交渉に持ち込めばもう少し下がったのかもしれないが、プーの成長を祝う品を買うのに値切って買うっていうのも何なので、これでいいのだ。
ということで大安の日を選んで配達してもらって即座に組み立て。自分たちの結婚式には「仏滅でも別にいいよね」などと言っていたのに、子供のことになると大安にこだわるというのもわれながらおかしなものだ。

*1:あと、頼朝が最終的に成功者となったというのも大きい理由だ。それまでも「せっかくだから武将の兜にしようよ」という話をしていたが、「かといって義経みたいな悲運の人生を送ってほしくはないしね」などという話もしていたので。