離乳食奮闘記

プーが生まれてからいまに至るまで、自分で言うのも何だがプーの世話に関することは(回数はともかく)一通りそれなりにこなしてきたつもりだ。オムツ替え、お散歩、食べさせ、寝付かせ、夜中のミルク....。
そんな中でひたすら敬して遠ざけてきたのが「プーの食事作り」だ。なんてったって自分は料理がとても下手だ。独身時代は帰宅が遅い時期だったこともあって家で料理することなんかほとんどなかったし*1、結婚してからもたまに料理を作ろうとするとインスタントの焼きそばさえ失敗する始末。自分ひとりが食べるならどんな失敗でも受け入れて食べるし、百歩譲って妻と2人分でも妻に我慢して食べてもらうこともできるが、プーに失敗作を食べさせるわけにはいかない。ということでずっと食事作りは手を出さずにいた。
とはいえ、これでは私が休みの日でも妻がプーを置いて外出することもできないし、毎日毎日プーの献立に悩んでいる妻にも申し訳がたたない。そのうちに妻が健康診断で半日家を空けることが決まったため、これを機に一念発起してプーの食事作りに挑戦してみた。
いきなり一人で作って失敗しても大変なので、まずは妻が家にいる日に一度目の挑戦。離乳食の本と冷蔵庫の中身を見比べて「野菜いり豆腐」に挑戦することにした。
....しかしまぁ、離乳食の本っていうのは「ある程度料理の経験がある人」を対象に書かれているので、まったくできない自分には書いてあることが読解できない。まずは野菜を切ってフライパンに油を敷いて炒め煮して....「炒め煮」って何だ? 妻に教えてもらってここはクリア。豆腐を切ってフライパンに入れて、次は醤油と砂糖で味付けだ。分量は....「少々」。はい? なんだそりゃ。だいたい「多い」とか「少ない」とかいうのは対象となるものがあって初めて比較できる、相対的な数量をさす言葉じゃないのか? 何と比べて「少々」なんだ? 「小さじ1杯」とか「ひとつまみ」とか具体的かつ客観的な分量を書いてくれればまだ素人でもできるけど、こんな抽象的かつ主観的なことを書かれても困るよ.....。
これを読んだ方はさぞかし私を馬鹿になさると思うけど、実際料理に疎い人間の感覚なんてこんなもんだと思いますよ。ということでここでビッグビジネスの予感! 私みたいに料理がまったくできない人向けの離乳食本なんてどうだろう。タイトルは「妻が突然出て行った! でも安心今日からできるパパの離乳食づくり」とか。売れそうもないな。
などとくだらないことを考えつつも何とか味付けをすませて野菜いり豆腐完成。本に出ていた写真にくらべるとどうも彩りが鮮やかでないけど、まぁ初めてにしちゃ合格点だろう。付け合せにホウレンソウのごまあえを用意し、ご飯は妻が炊きだめて冷凍してくれていたやつを解凍しているうちにメインはすっかり冷めてしまったけれどもまぁプーも何とか食べてくれた。
次なるチャレンジは健康診断本番前日の土曜日の夜。今度は「ひき肉とカボチャのあんかけ」と「三色ピーマン炒め」に挑戦だ! これがとんだ悲劇を招くとはこのときは知る由もなかった。
まずは勢い込んで冷蔵庫を漁っていると妻から「プーは前にカボチャを戻したからカボチャは避けたほうが」というお達し。そういえばそうだった。どうも最近物覚えが悪くて困る。ということでカボチャの代わりに豆腐でも入れるか....と思ったら豆腐がない。仕方がないのでシイタケを刻んでやることにした。
しかし当然のことながらカボチャとシイタケじゃ形も違うし大きさも違う。そのせいかどうか知らんがずいぶんと水っぽいものができた。そしてまた例によって「砂糖と醤油少々で味付け」。今回は具の量に比べて醤油が多かったようで、ずいぶん濃い味になってしまった。
仕上げのとろみ付けは「水溶き片栗粉」。これはレシピすら出ていない....。まぁ名前からして片栗粉を水で溶くんだろうけど、いったいどの程度の割合でやればいいのか見当もつかない。えいやっと適当にやってみたものの全然とろみのないものが出来上がった*2
もう一品はピーマンを切って炒めて粉チーズを振るだけだ。これは失敗しようがない....はずなんだが、出来上がってみたらにがいの何の。プーに食べさせたら吐き出す始末。波及して肉シイタケのほうも受け付けず、見かねた妻が急遽卵焼きを作ってくれた。今日は朝食に卵を使ったからわざわざ卵を避けたのに、結局卵料理を作ってもらうことになってしまった....。
へこみながら夜を越し、いよいよ健康診断当日だ。朝そうそうに妻が出かけたのでプーが起きる前から準備にとりかかる。クレイマークレイマーを気取ってフレンチトーストでも作ろうかとも思ったが、それだとおかずに卵が使えないので断念して、今日はスティックトーストとふわふわオムレツにポタージュスープだ。オムレツなんて自分用にも作ったことがないのでおっかなびっくりだったが、今回は幸いそれなりにできた。「ふわふわ」というには程遠い固さだったが、まぁ多少固めのほうが歯の成長にもいいだろう。トーストは軽く焼いて包丁で切るだけ。楽勝楽勝。スープは粉末をお湯で戻すだけなのでこれも楽勝....と思いきやお湯がぬるかったのか、だまが残ってしまった。ま、匙でつぶして飲ませよう。
プーが起きて来たので早速父子2人で朝食だ。自分のを作る時間がなかったのとトーストが1枚しかなかったので、オムレツはプーと半分こ。トーストもプーと半分こ。いただきまーす。
スープとオムレツはまぁ順調に食べてくれたが、トーストでハプニング発生。つかみ食べ用にスティック状にしたトーストをプーがかじらずに全部口の中に押し込んでしまい、苦しくなったのか口から出してしまった。慌てて残りのトーストは細かくちぎってやると今度はどんどん食べる。ついには自分の分だけでは足りなくなったようなので私の分もちぎってプーにあげる。とりあえずプーが食べ終わるまで自分の食事は後回しにしていたんだが、プーが食べ終わった後はオムレツ半分とコーンスープがほんのちょっと、それに4本のパンの耳が残されていた....。ま、パンの耳にコーンスープを含ませるとそれなりにおいしいよね。ということで私の朝食も完了。
休む間もなく昼飯のメニューを考え始める。もはや新しいのに手を出すリスクを避けよう、ということで前に成功?した「野菜いり豆腐」に決定。4食目にして早くも一巡だ。それだと肉も魚もないので鮭とジャガイモのすりつぶし団子をつけてやって、ご飯はまた解凍することにして、スープはベビーフードの粉末でお茶を濁すことにしよう。
プーの散歩を兼ねて豆腐とベビーフードの野菜スープを買いに行き、帰宅して早速とりかかる。2度目だけあってまぁそれなりの出来....のはずだが材料を目分量で測ったら豆腐がえらく多くなってしまった。そして付けあわせがジャガイモだけあってけっこうなボリューム。そのせいかだいぶ残されてしまった*3もののまぁ何とか昼食終了。自分の昼食まで手も頭も回らなかったが、空腹を感じる余裕もない。
....はぁ、こりゃ想像以上に大変だよ。自分はたまにやってみただけだから「1回分の栄養バランス」だけ考えりゃいいけど、毎日毎食となると「全体の栄養バランス」まで考えないといけないわけで、いつも妻がプーのメニューに頭を悩ませているわけだ。ということで前にもまして妻の大変さの一端を垣間見ました。いつもお疲れさま。ありがとう。また機会を見つけて挑戦します。*4

*1:家で晩御飯を食べるときは「ご飯とキムチだけ」なんてこともしょっちゅうだった。たまに作っても肉野菜炒めとかニラタマとか、フライパンひとつで簡単にできるようなものくらいで、鍋なんか使うことはめったになかった。

*2:後で調べたら通常は水と片栗粉を1対1、赤ちゃん用の場合は固まらないように3対1くらいでいいらしい。私はたぶん10対1以上の薄さだったので、とろみがつくわけがなかった。

*3:ジャガイモ団子にいたっては、手づかみで食べさせようと置いておいたらいつのまにか下に投げ捨てられていた。悲しい....。

*4:プーは嫌がるかもしれないけど。