大増税

たまには毛色の違うことも書いてみよう。
ニュース等で取り上げられているが今日から住民税があがる*1。もうとっくに決まっていた話なのでいまさらニュースで取り上げるのも何だと思うし、ブログの話題としても今更感があるのだが....。
今回の税制改正地方分権の一環として中央から地方に税源委譲するということで、「所得税の税率を下げて住民税の税率を上げるので、全体の負担は変わらない」という説明がされている。「ただし定率減税が廃止されるので実質の負担は増えます」という但し書きがあるのだが、実際にはそれ以上の負担増が強いられていることは説明されていないようだ。
どういうことかというと、所得税は基本的には「その年の所得」に対して課税されるものであるのに対し、住民税は「前年の所得」に対して課税されるものである、という根本的な説明が欠けているのだ。
話をわかりやすくするために、所得税率が10%から5%に、住民税率が5%から10%に変更されたとしよう(控除とかそういうのは無視して)。そうすると、以前の制度は所得税と住民税をあわせて15%、新しい制度でも所得税と住民税をあわせて15%、だから負担は変わりませんよ、というのがこれまでされてきた説明だ。しかしこれを「『各年の所得』に対してどれだけの税が課せられたか」という観点で考えると、平成18年の所得については所得税が10%、住民税が10%で合わせて20%が課税されている、ということに気づく。
単年度の話とはいえ5%分の増税(前年比33%増)というのはけっこうな負担増だ。幸か不幸か私は平成18年は転勤した関係で収入が前年に比べて多少落ち込んでいたので負担増は少なくてすんだが(笑)。
もとより中央・地方あわせた財源不足というのはよく理解しているし、ここでこれだけの負担増を住民に強いること自体についてはその是非を云々するつもりはないんだが、これだけの負担増をきちんと説明することなく「実質的な負担は変わりません」と言い切ってしまうあたりに非常に欺瞞を感じるのは私だけだろうか?
恥ずかしながら私もこのことはつい何ヶ月か前に初めて気がついた。ということは世の中にはまだ気づかれていない方もいるのではないか、と思って書いてみた。聡明な読者の方はすでにとっくにご承知の向きもあろうかと思うが、そんな方は蒙者の戯言と思って読み流していただければ幸いだ。
とはいえ「国民をだましやがって〜」などと税務署だの県税事務所だのの職員に罵声を浴びせるのはそれこそお門違いというもの。税務職員だって一人の国民として税金を払っているわけだし、その方々のあずかり知らぬところで制度は決められているんだから。
ということでこのブログ始まって以来の社会派(?)な記事でした。落ちがなくてすみません。

*1:厳密には「都道府県税」と「市町村民税」で、今日から上がるのも特別徴収を受けている人だけなんだけど、細かいことはおいておいて。