うちの王子ラスベガスに行く その10

うとうととして目が覚めると飛行機はまだ飛んでいた。機内は消灯されていて薄暗いが、窓のシェイドからは光が漏れている。よく考えたら18時45分に成田を出て同じ日の13時にLAXに着くということは、このままずっと夜にはならないわけだ。地球の自転よりも速く飛んでいるということに科学技術の凄さを感じる。
プーはまだおとなしく寝ている。せっかくだから映画でも、ということで「天使と悪魔」を見る。音声が日本語、字幕が中国語というよくわからない設定だが、よく考えると中国語は北京と広東で発音も違うだろうから字幕にしておくのが無難なのかもしれない。しかしこの映画、自分は原作を読んでいるので話についていけたが、いきなり映画を見た人は話についていけてるんだろうか。そして原作との違いがけっこうあってびっくり。○○○○が△△△△△とか、××××××に□□□□□が☆☆しないとか....(←ネタばれにつき伏せる)。ヴィットリアがだいぶイメージが違ったのが残念だ。
途中で朝食が配られるがプーは起きない(妻は起きていた)。夕食からあまり時間が経っていないのでそれほど腹も減っていないが残すのは嫌いなのでまたも平らげる。そうこうしているうちに少しずつ高度が下がってきた感覚。窓のシェイドも上げられ、翼の下には海と山が見える。8年ぶりに見る北米大陸だ。モニターで現在位置を見ると間もなくLAX到着らしい。腕時計をLAX時間に調整する。
高度がかなり下がりシートベルト着用のサインが出てもプーは起きない。スチュワーデスさんが通った時にも何もいわれなかったのでそのまま寝かせておくことにする。窓の下に街が見えてきた。残念ながらロサンゼルスの地理はまったくわからないので、具体的にどこがどのへんに当たるのかはさっぱりわからないが、いずれにしても大都会だ。野球場のようなものが見えたがおそらくドジャースタジアムではあるまい。
気がつけば家の一軒一軒が見えるくらいまで高度が下がっている。ロサンゼルスというともっと高層ビル立ち並ぶ姿をイメージしていたが、このへんは普通の邸宅ばかりだ。普通の、と書いたが、よくよく見るとけっこうな割合で敷地内に青い一角が見える。おそらくプールなんだろう。だとすれば合衆国の中でも生活水準が比較的高い人たちが住んでいるに違いないが、そんな住宅街のすぐ上を飛行機が飛び交っているということなんだろうか。騒音問題とか安全問題とかどうなっているんだろう?
....などということを思っているうちに窓から倉庫やハイウェイが見えてきた。そして間もなく滑走路が見え、床下に振動を感じる。そして休息に減速して無事に着陸成功。小さく拍手する。この振動でもプーは目を覚まさないのだからたいした大物というべきか。
LAXの空港はもちろん初めてだが、機内から滑走路を見る限りでは緑も少なく荒涼とした印象だ。尾翼におじさんの顔が書かれた謎の飛行機*1を横目に見ながら飛行機はターミナルへ到着し、到着のアナウンスが流れる。ここへきてようやくプーを起こし、荷物をまとめてボーディングパスへ。私と妻は8年ぶり2回目、プーは初めての北米大陸上陸だ。

*1:後で知ったところではアラスカ航空らしい。