うちの王子ラスベガスに行く その21

後で聞いた話によればどうやらおじさんは大阪に息子さんが住んでいて、それで日本に行ったことがあったらしい。そんなこともあって気さくに話しかけてくれたのかもしれないが、しかしこのおじさんに限らず、今回ラスベガスで出会った方は総じて親切で、我々が日本人であることゆえの不利益は全く感じなかった。世界中から客が集う一大観光地だからなのかもしれないが、いずれにしてもありがたいことだ。
さておじさんとひとしきり立ち話したあと、いよいよレッドロックキャニオンの観光に向かう。ここには「シーニックループ」という一方通行の環状道路が整備されていて、今日はそこをのんびりと車で一周することになっている。名の通り観光そのものが目的なので、沿道には人家や店舗などは全く存在しない。施設としてあるのは展望ポイントや休憩所くらいで、走っている車も基本的には観光客の車ばかりだ。もちろん歩行者もいない。
運転するのにこんなに安全な道があるだろうか....ということで、M氏の御好意によりしばらく運転させていただくことにする*1。海外での運転も初めてなら左ハンドル車も初めてだ。緊張しつつバックで発進し、駐車場からループ道路に出る。意識していたのでウィンカーと間違えてワイパーを動かすというお約束のミスこそしなかったが、やはり慣れるまでは一苦労だ。しかし幸いなことに車もそれほど多くなく、また道も奇麗に整備されておりわだち等もほとんどない。やや安心しながらしばらく走る。油断するとついつい車が左に寄ってしまうのは御愛嬌か。サングラスがないのでいささかまぶしいが、幸い太陽に向かって走る方角ではなかったのでなんとかなる。ものの5分もしないうちに運転そのものの違和感はなくなり、周囲の景色を堪能する余裕が出てきた。空はどこまでも青く、目の前は荒涼たる砂漠、その背後に岩山が聳えている。アニメ映画の「カーズ」で見たような光景だ。日本では到底見られまい。実に爽快なドライブとなった。
のんびり走っているうちにちょっとした駐車場があるので車を停める。ここは景観スポット兼トレッキングルートの出発点になっているようだ。眼前にでかい岩山がせまり迫力十分。K嬢が持ってきた双眼鏡を借りていろいろ眺めてみる。景色の写真を何枚か撮り、せっかくなので皆で記念撮影。時間があればトレッキングにも挑戦したいところだが今日は予定が詰まっているので断念し、再びドライブを続ける。
しばらく運転させてもらう。全くの砂漠地帯のようだがところどころに枯川がある。ここに雨が降ることは年に何回くらいあるんだろう? さっぱり見当もつかないが、それでもまれに道路を排水溝が横切っていたりもするので、それなりに雨水の処理が必要なこともあるんだろう。というか周囲全体が岩山に囲まれているのでひとたび雨が降ったら大変なことになるだろうから、さすがに考えているんだろうが。ところでここは盆地なんだろうか? と素朴な疑問を口にしてみると、M氏いわく「キャニオンというくらいだから渓谷なんじゃないか」と至極正しい答えが返ってきた。そりゃそうか....。
次なる駐車場兼景観スポットでまたも記念撮影。年賀状で使うのを意識しつつ家族3人の写真を撮ったり*2、日本からはるばる連れてきたプリンのピン写真を撮ったり。ここの駐車場では日本人のグループもおり、久々に同行者以外の日本語を耳にする。そういえばラスベガスはけっこう日本人観光客が多いはずなんだが、前日のLAX以来ほとんど日本人を見なかった気がする。まぁ前日行ったのがダウンタウンという比較的日本人が少ないところだったからかもしれないが。
....しかし残念なことにこのへんでプーがうとうとし始めた。無理もない。昨日からの強行軍に加えて、このような自然あふれる景勝地は4歳児にとってはそれほど魅力的なものには感じられなかったのだろう。まぁ今日もまだまだ長いからいま無理に起こすこともあるまい。途中でM氏に運転を替わってもらい、先ほど自動販売機で購入したドリンクを飲みつつ*3車窓からの眺めを楽しんでいるうちに気がつけばシーニックループの終点までやってきた。やや駆け足気味ではあったが念願のアメリ大自然を堪能し大満足だ。

*1:国際免許証が役に立った。

*2:昨年の年賀状で使ったのがここで撮った写真です。

*3:不味かった。