髪切りデスマッチ

日曜日は妻が友人と会う予定だったが急遽お流れになり時間が空いたので、かねて懸案だったプーの髪を切りに行くことになった。
プーはどういうわけか私に似ずに生まれたときから髪がふさふさで(出産に立ち会ったときの第一印象のひとつが「髪が黒いな〜」ということだったくらいだ)、最初のうちはいい感じの髪型だったんだが、そのうちどんどん伸びてきて一時期は風呂上りに前髪を横一直線に整えて「宮史郎」などと言って楽しんだりしていた。さらに伸びてくると風呂に入れたら後ろ髪が広がって長州小力みたいになり、さらに伸びるとだんだん癖毛が出始めてニアか春曲鈍みたいな髪型になってきていた。
さすがに暑そうだし、またともすると髪の毛が目に入りそうで危なっかしいのでいい加減髪を切ってやろうということになった。最近はやりの「誕生髪で作る筆」を作りたかったので、そこと提携している床屋へ。車通りの多い道だったので駐車に難渋していたら店からおじさんが出てきて誘導してくれた。他のお客さん待たせて悪いな....と思ったんだが、入ってみると他のお客さんなんていやしない。日曜の午後なのに大丈夫なんだろうか? と心配になる。
とはいえさすが提携店だけあった赤ん坊の散髪も慣れたもののようだ。妻がプーを抱えて散髪台に座ってカットするという形で散髪。妻も理髪店に入るのは初めてとかで心なしか楽しそうだ。私は手持ち無沙汰になるが、至近距離で立って見ているのも床屋さんに悪いかな、と思って待合室で「チャンピオン」などを読みながら待つ。ドカベンもだんだんめちゃくちゃになってきたな。っていうか何でロッテとアイアンドッグスがプレーオフやってんだ? ホークスはどうした? などと思っていたらプーの号泣が聞こえてきた。あわてて様子を見に行くとプーが切った髪の毛を顔中に散らしながら大泣きしている。まあ、しらないおじさんが至近距離で髪を切ってそれが顔にかかってチクチクするんだからそりゃあ泣くわな。妻があやそうにも身動きがとれない状態だし。しかし床屋のおじさんもちょっと抱き上げてあやしたりと手慣れたもんだ。
そのうち見る見るうちにプーの長髪は切り落とされていき、五分刈のプーの一丁上がりだ。私がちょっと抱きかかえているうちにおじさんは熱タオルを取り出してきてプーの顔を拭いて顔中に天花粉を塗りたくる。こんなに乱暴にしていいんだろうか? と思うほどだ。もしかしてうちは過保護かなぁ。
 散髪が終わるとプーはケロッとしたもので妻の腕の中でおとなしくしている。さっきまでの格闘が嘘のようだ。肝心の筆は太筆・中筆・細筆から選べるようになっていて、私は「中筆」を頼もうとしたんだが床屋のおじさんが執拗に太筆を勧めるもんだからついつい太筆を頼んでしまった。その差4200円。子供のためなら高くない、とその時は思ったんだが、よく考えたら安くもないよなぁ。どうも最近財布の紐が緩んでいる。いかんいかん。引き締めねば。
 ということで髪を切ったプーは前にもまして可愛くなった。しかも風呂での洗髪も楽だし、髪もすぐ乾くなどいいことづくめ。またまめに切ってやることにしよう。