プー、1歳の日に

今日でめでたくプーも1歳。はじめての誕生日だ。
思えば長かったような短かったような複雑な気分だ。自分のことをいえば1年前とは住居も変わり、職場も変わり、そういう意味では遠い昔のような気もしているが、一方ではプーが産まれた日の朝の慌しさ、産院の個室で一人待つ間の緊張感、そしてはじめて耳にしたプーの泣き声、そういったものは今も昨日のことのようにはっきり覚えている。
プーはこの3月まで保育所に通っていなかった*1し、上に兄弟もいないこともあって、あまり同年代の子と遊ぶ機会は多くなかったが、そのぶん私や妻のまわりの大勢の大人の皆さんに可愛がってもらったと思う。産院の先生や助産師さんにはじまり、まだ産院にいる頃に見舞いに来てくれた友人やお互いの両親、遠方からでも出産祝いやお祝いの手紙・メールをくださった皆さん、引っ越す前に散歩のたびに声をかけてくれた同じアパートのおばさん、教習所の託児室や一時保育の保育士さん、ベビーカーを押しながら買い物をしているときにドアを開けてくれたコンビニの店員さん、そして子供の世話で休暇をとったり早く帰ったりしても文句ひとついわず快く仕事を引き受けてくれた同じ職場の皆さん....。まだまだ感謝すべき人はたくさんいるが、皆さんのおかげでプーは無事1歳を迎えました。本当にありがとうございます。
この1年でプーは確実に成長した。2600グラム程度だった体重はもう10キロ近くなり、身長も20センチ以上伸びた。1年前は仰向けに寝てたまに泣くことしかできなかったが、今はつかまり立ちをし、伝い歩きをし、時には立ち上がって笑いながら手をたたいたりしている。生まれたばかりのころは1回20グラムのミルクを一生懸命飲んでいたが、今ではかなり固めの離乳食も平気で食べている。この1年は人生でいちばん成長が著しい1年であることは確かだが、それにしても何という成長ぶりなんだろう。
それに引き替え、わが身を振り返るとはたしてこの1年でどれくらい成長したんだろう? プーが産まれた瞬間は「これで父親になったんだなぁ」という責任感のようなものを実感していたが、実際この1年でプーに父親らしいことをどれだけしてやれたかと思うと、あまり大したことをしてやれてないな、というのが正直なところだ。もちろん一緒に風呂に入ったりとか夜中にオムツを替えたりとか、それくらいのことはしているが、プーが足元で這い回っているのに自分は新聞を読みふけっていたり、早朝にプーが起きてじゃれついてくるのに自分は寝続けようとしたり、あまりいい父親ではなかったかもしれない。
プーが産まれてからの自分の大きな変化のひとつとして、プーに限らず子供全般が可愛くて仕方ないようになった、ということがある。どの子にも親がいて、多少の例外を除いては親の愛情をいっぱいに受けて育って....というある意味当たり前のことが、やっと実感として感じられるようになってきた。
そのぶん「親子の話」や「子供の話」に対して涙もろくなった気がする。たぶんいま「ドラクエ5」をやったら何度か泣いちゃうんじゃないだろうか(笑)。大河ドラマを見ていても、叡山焼き討ちで母親が赤ん坊を抱えて震えているシーンとか、万福丸が磔になるシーンとかでは泣きそうになってしまった。
一方では、子供が犠牲になる悲しい事件の報道では、犯人に対して本当に強い憤りを感じるようになった。広島の事件、今市の事件、川崎の事件、光の事件....。犯人は当然死刑になるべきだと思うが(罪も無い子供の人権を奪った人間に更生の権利なんか与えなくていいだろ)、たとえそうなったとしても絶対に埋まらない悲しみというものがある、ということが−今までも理屈ではわかっていたけれど−よりリアリティをもって感じられるようになってきた気がする。
あとは何だろうな....。「自分の命」というものもこれまで以上に大事に思えてきた、ということだろうか。プーが生まれるまでは、幸い妻も仕事をもっていたので自分に万一のことがあってもそれほど不自由なく生きていけるだろうと思っていたが、今はもし自分に万一のことがあったら妻やプーがこれからどうなるのか、という心配と、プーの今後の成長を見られなくなってしまうという悔しさと、そういったものが相俟って「いま死ぬわけにはいかない」という気持ちがますます強くなった。そう思うと、小さい子供を残して蒼穹の雲となってしまわれた方々は、どれだけ心残りだったことだろうか。
他にもいろいろ感じることはあるが、早いところアップしないと日付が変わってしまうので(笑)このくらいで。このブログが今後どれだけ続くかわからないが、プーが2歳、3歳と年を重ねていったときに自分の心境がどう代わっていくのか(あるいはこのまま変わらないのか)、それを確かめるためにプーが1歳の日を迎えての正直な気持ちを書き記してみた。落ちがない話ですいません。このタイトルが何のパクリか気付いた人とは、きっといいお友達になれると思います。

*1:一時保育とか「ニコニコルーム」とかには行っていたけど、定期的には入っていなかったので。